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コラム・レポート

2019.06.28

マーケットレポート

〔レインズから読み解くマンション市場〕 

昨年あたりから「ファミリータイプの賃貸が強い」という印象を受けています。通常、ファミリータイプの賃貸は、再募集して新しい入居者を見つけるまで、時間がかかるのが通例で、特に2、3月の繁忙期を逃してしまうと長期化する傾向があるのですが、現在は退去となってもすぐに次が決まる状況です。ファミリータイプは退去の理由として「マンションを購入したため」というのが多いのですが、これが減っているためだと考えています。買いたくても手ごろな物件がないのです。

新築マンション価格が高騰、2018年はいよいよ平成バブルを超えたそうです。中古マンションもそれに連れ高となっている状況ですが、今後、マンションの流通マーケットはどういう展開を見せていくのでしょうか。不動産会社相互の物件登録システムである「レインズ」ネットワークのマンション登録状況から、マンション売買マーケットについて考察してみようと思います。

下記のグラフは、東京都において、2011年から四半期ごとに、レインズに新規登録された件数(青棒)、販売中として在庫となっている件数(黄棒)、成約物件として登録された件数(赤線)です。※成約登録は義務ではないため、実数はもっと多いと考えられます。

四半期(3か月分)合計の新規登録数が、在庫件数に比して多く感じられるのは、純粋な新規物件のみが登録されているのではなく、販売戦略として、物件の再登録を繰り返すことが多く行われているためと考えられます。

第二次安倍政権が発足、いわゆるアベノミクスによる金融緩和が不動産価格を押し上げた2013年から2014年前半にかけては、在庫数を減らしていったことが読み取れます。この時期、成約件数も、季節要因や消費増税、中国経済などの外部要因の影響を受けながらも、基本的に増加傾向で推移したと言っていいでしょう。

その後、アベノミクスによる株高資産効果の恩恵が一巡すると、有効な成長戦略を打ちだせず、給与所得者の購買力へと展開できませんでした。これにより2014年後半から2015年にかけては経済停滞感が蔓延、消費増税の先送りもなされました。マンション市場においても成約件数が減少傾向となり、在庫数も増えていくことになります。

2016年にマイナス金利政策が導入され、だぶつくマネーは再度不動産セクターへ向かいますが、これは地価上昇による新築マンションの高騰へとつながりました。新築マンションはもはや一般サラリーマンには手の届かない価格レンジとなったため、デベロッパー側も供給戸数を大幅に絞らざるを得ません。その代替として選ばれた中古マンションが、その成約価格を伸ばしていきます。

このように、中古マンションは、新築マンションの代わりとなりうるクオリティか否かによって選別されていくことになります。中古マンション価格が上昇しているからといって短絡的に売りに出しても、すべての物件が売れるわけではないのです。よって、昨今「二極化」という表現が用いられることになります。成約件数は一定数を維持していながらも、全体としては在庫数を減らすことがかなわず、現在までこの状況が続いているのです。

下記のグラフは、レインズにおける登録価格を2011年から四半期ごとに拾ったものです。ここ最近は、成約価格が新規登録価格や在庫価格を上回っていることが分かります。

通常のマンション売買においては、最初は高い価格で売り出し、(なかなか売れず)徐々に価格を下げていくというパターンが多いので、新規登録→在庫→成約の順に登録価格は下がっていくのが自然なはずです。これに反して今は、成約→在庫→新規登録の順となっているわけですから、高いものがスグに売れていっていることとなります。

つまり、価格が高くても資産価値の高い物件は売れる状況になっており、先述のように「新築マンションの代替になりうるかどうか」が重要視されていることが伺えます。資産価値の低い物件は、たとえ価格が安かったとしても売れにくい状況にあると言い換えてもいいでしょう。 リノベーション・マンションが流行っている理由であるとも考えています。

ちなみに、2014年後半から2015年にかけても同じ現象、成約>在庫>新規の状況がおきています。これは相続税対策として、湾岸エリアを中心にタワーマンションが積極的に買われたことが原因と考えられます。「相続税の圧縮効果があるのであれば、価格が高くても買われた」状況は、新築マンション代替となりうるか否かという現在の状況とラップするのです。

下記のグラフはレインズにおける登録築年数を2015年以降四半期ごとに拾ったものです。 (前出のグラフとの対比で2011年から横軸をとっています)

これをみますと、成約物件は、新規登録物件や在庫物件に比して、かなり築浅であることが分かります。相続税対策としてタワーマンションが買われた2015年も同様、築浅の物件が売れていたことになります。ここにきて、築浅物件と築古の物件との差は開く一方であり、築古の物件はどんどん滞留していった結果、築年数の平均値を一層古くしていきます。

ここまで見てきたように、「売れる物件と売れない物件」はいっそう両極化していくと考えられます。そうなると、今後、後者に該当する物件の売却に関しては、そのアクションを少し早めにしたほうがいいと言えるでしょう。冒頭のグラフにあるように、在庫数がかなり増えてきている、今の状況も気になります。一方、前者に該当する物件であれば、今しばらくジリ高にあるマンションマーケットにおいて、優位に売却を進めていくことができると考えられます。

2019年も折返しをむかえました。消費税増税を控え、米中貿易摩擦などあって、国内景気は腰折れ気味にあります。ホテルやオフィスビル・複合施設など再開発ラッシュの東京も、オリンピック後の反動が心配されだしました。日銀総裁は「必要な手立てを講じる」といいますが、先行きは不透明です。引き続き注視した上で、レポートしてまいります。

「住まいは買うべきか?、借りるべきか?」「マンションは買い時か?売り時か?」これら古くて新しい問いに対する答えは一つではなく、お客様それぞれがおかれた状況によって、回答は変わってくるはずです。当社はプロとしてお客様の資産形成に資するべく努めていく所存です。

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